そんなにうまいわけでもないクジラをどうして食べたがるのかと前から思っていた。クジラを取り巻く不可思議な世界の一端はこの本で解き明かされているけど、肝心の「なぜこだわるのか」という点には納得できる答がない。筆者は官僚の意地だといっているけど、それだけでこれだけの情熱と金を注ぐとは考えにくい。ありがちな利権も票田もいまさらなさそうだし、かえって謎が深まってしまった。
マスコミを通じて流されるクジラ関連の情報にいかにコントロールされているかということを気づかせてくれるが、そのなかで一番の驚きは「クジラ漁船に体当たりしているのはピースボートではない」ということかも。
幻冬舎らしい、いい切口の企画だと思う。捕鯨を語る人(って何人おんねん?)は必読。