ユニクロ柳井さんの発言はごもっともだと思うんだが

 昨日の朝日新聞に掲載されたユニクロ柳井さんのロングインタビュー、朝日新聞側の意図的な悪意あふれる見出しとかがついていることもあって避難されまくりの様子。でも、読んでみると特段変なことだとは思えない。


 あらゆる事態にを想定し、それに備えていろいろと対策を考え、実行しようとしているだけの話。軽い地震津波しか想定せずに事故を起こし、それに対して「想定の範囲外」と言い訳をした東京電力幹部が今も激しい非難を浴びているし、「液晶の価格低下が想定よりかなり早かった」と説明したシャープの経営者があざわられたりした。


 井沢元彦さんがよく指摘するように、日本は言霊信仰があって、口にしたことは起こってしまう、縁起でもないことは言わないという思想がある。だから東京電力やシャープは失敗したし、柳井さんの発言も同様。


 柳井さんの発言が避難されるのはみんながなんとなく「おこるんだろうな」ということを本当に「起こる」と言ってしまったことにある。結局みんなそうなると心の底では怖がっているってことだろう。


 ユニクロにしてもアップルにしても、社内はともかくそのワールドワイドなサプライチェーンでは「1億円と100万円」みたいな話がすでに現実化している。柳井さんのインタビューを読んで「もうユニクロの商品は買わない」と叫んでいる人はiPhoneも買わないのだろうか。というかスマートフォンやPCは大方買えなくなってしまうんだが。電子部品の原料鉱物の採掘にまで遡ると電気製品は全く買えないということになる。


 それにしてもひどいのは朝日新聞の編集。柳井さんが世界がこんな社会になるだろうと想定していることをユニクロの施策のように見出しをつけている。まあそれに釣られて誤読して罵倒する人多すぎ。

 「それはグローバル化の問題だ。10年前から社員にもいってきた。将来は、年収1億円か100万円に分かれて、中間層が減っていく。仕事を通じて付加価値がつけられないと、低賃金で働く途上国の人の賃金にフラット化するので、年収100万円のほうになっていくのは仕方がない」

朝日新聞デジタル:「年収100万円も仕方ない」ユニクロ柳井会長に聞く - 経済・マネー


 柳井さんの考え方は政府に頼ろうとしないのが潔いと思う。ほどほどの想定と対策だけやっておいて、困ったら「円高を何とかしてくれ」とか「優遇税制よろしく」とか言い出す経営者ってそれこそ1億円の価値ないよね。