グーグルニュースの衝撃

 ドリコム内藤さんのblogの久しぶりのblogはGoogleNewsについてというエントリー経由で。
 果たしてなにが衝撃なのか、どうもようわからへん。
 これまでいわゆるポータルサイトに掲載されていた新聞社のニュースはそのサイトのフォーマットで提供されていた。自社のサイトへのリンクはアイコンがあるくらいだった。つまりポータルサイトに提供する場合、ニュースの提供料金は期待できても広告面でのプラスは皆無だった。ところが、googleニュースは各社のサイトの個別の記事に直接ジャンプする。つまり広告面でのプラスがある。新聞社にとっては願ったり叶ったりなんじゃないだろうか。販売よりも広告収入で成り立っているリアルの世界同様、広告を主たる、しかも安定した収入源にできる可能性があるわけだから。湯川さんは広告から超然としていられる時事通信社の人ならではの発想かなとか思ったりして。
 どっぷりとこの業界に漬かっていると思ったのは、勝ち負けがスクープしたかどうかという基準でまず語られている点。一般人にとって、どこが抜いたかは新聞社の特性を計る目安にはなっても、スクープがあったからってその新聞社の記事すべてがおもしろい、優れているとは思わないだろうし、ましてやそれで宅配の新聞を変更するとは思えない。読者にとって、勝ち負けは記事の中身のはず。
 記事の比較が可能というのはポータルサイトでほぼ実現されているので、googleニュースによって始まったわけでもない。googleニュースの影響があるとしたら、それは地方紙の記事がほとんど同じで、それは通信社の配信記事だというのが露骨にわかってしまうことではなかろうか。地方紙の現実が見えてしまう、通信社という影の存在が見えてしまうのである。
 MSNがblogサービスを始めたという話を毎日MSNがblogを始めたと思いこんでいるのはなんでだ?MSNにとって、毎日MSNはblogサービス同様、ポータルサイトのコンテンツの一つでしかない。毎日新聞がMSNを取りこんだんじゃなくって、毎日新聞がMSNに取りこまれたのに・・・。マスメディアの人間としてはそれは認めたくないのかな。
 ついでに、新聞社の新しいビジネスモデルとしてのコミュニティってのもなんか違和感がある。新聞記者が今の警察官並みの人数で動いていたらそういうのも可能だろうけど、今の記者(あるいは営業や販売店もカウントしてもいいかも)の数ではとうてい不可能。素人の圧倒的な、生活に密着した数のパワーには少々のインテリジェンス(?)では抵抗すらできないんじゃないかと思う。
 インターネット時代の新聞社の生きる道ってのは、素人と比べた場合の強みをいかしていくしかない(これはどの業界でも同じこと)わけで、それはプロでしか書けないいい記事を流し続けるということ。いいコンテンツならそれなりの金の回収方法はあるはず。もちろん規制に守られた今と同様の利益率は望むべくもないが、決して素人の前に存在意義をなくすってことはないと思う。その過程で消えていく会社はあるだろうけど、それは他の業界ではとっくに起きていることなんだから。