下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書) / 三浦展

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)
 「下流」という言葉が適切かどうかはともかく、この本で「下流」と呼ばれる人たちが増えてきたかというと、結局は経済がそういう生活様式を期待しているからじゃないかと。高度成長期においてはこつこつ働いて、こつこつ貯めて家や車を買うような人が期待されていたから、多くの人がそういう行動をしていた。こつこつ働く人が多くいることは優れた製品を作りだすために必要でもあった。
 現在は金を貯めて大きなものを買うのではなく、小さなものをすぐに買う、大きなものは借金してでもすぐ買うという行動の方が経済にとって都合がいいから「下流」の人が増えてきたということ。こつこつ働く人が多くいたところで、必ずしもいい製品に結びつかない。価値を生みだす人はそんなに絶対数は要らない。
 いまさらこつこつ経済が復活するとは思えないし、この傾向は続くんではないかな。そんでもって、世界の中での経済的優位が崩れたときは一気に下層社会になってしまうんだろう。