経営者の苦悩

 「より安全な製品作りで世界をリードしている」。敏宏社長は会見で、再三強調した。その自負が社内の風通しを悪くしたのではとの問いに、「私の熱意が、(事故を)報告しにくくした面があるかもしれない。非常に悔しい」と認めた。

 「そんなあほな」「事故おこったんやったら熱意も全然無駄やん」とツッコミいれたくなるところだけど、でもある程度以上の人を抱える会社の経営者、というか組織のトップというのは似たような悩みを抱えているんじゃないのだろうか。ほっといたらなにもしない、うるさくいったら表面をとりつくろうんだったら、結局なにもできない。社会保険庁が分母の減少によるパーセンテージの向上に走ったのも同じ構図。放任タイプかガミガミタイプかにかかわらず、行動を起こさせることができる人が名経営者なんだろうけど、そういう人はあまりいないからこそ「名経営者」といわれる人がもてはやされる。 
 とりつくろってしまうのは経営者がエラ過ぎるからなんだけど、大きな組織を動かすにはそれなりにエラいように見せかけなければならないし、やはり悩みは多いんだと思う。