「佐賀の役」はやめといたほうがいいんじゃなかろうか

 今日の朝日新聞の青鉛筆欄で、佐賀県では佐賀の乱のことを佐賀の役といおうという運動があるということを知った。でもこれは言葉的に正しくないと思う。

 日本の、というか漢字文化圏では「乱」「役」「変」は意味を持って使いわけられている。
 「乱」は普通の反乱、下からの反乱。平将門の乱応仁の乱太平天国の乱、東学党の乱とか。
 「変」は地位の高い人、権力の側にいる人の反乱、もしくはクーデタ。長屋王の変、承久の変とか。
 「役」は外敵、自分たちとは違う人たちの侵入・反乱。前九年の役後三年の役文永の役弘安の役とか。
 たとえばクーデタは失敗すると「反乱」、成功すると「政変」と呼ばれる。

 ということだから佐賀の乱を「佐賀の役」ということは不適切。
 逆になんで西南戦争のことを「西南の役」というのかがよくわからん。明らかに乱なんだから。丁丑の乱といういい方もあるけど。「役」というといいことみたいだからという誤解が元で、西郷どんの慰霊・たたりよけをこめていわれるようになったんだろうか。

 もう一つ、間違った使い方が定着していると思うのは本能事の変。これも乱だと思うんだけど。

 平安時代、朝廷・貴族から見て関東地方は権力の範囲内、東北地方は未知の、権力のおよばないエリアだったというのが平将門の乱、前九年・後三年の役の使いわけ方からも想像がつく。