キミは見て見ぬふりをしてきたんだね

 大相撲の賭博問題の記事より。

◇金銭感覚マヒ、背景

 どこまでも続く「カネの闇」。協会関係者によると、力士の間で野球賭博は以前から浸透しており、手を染めていた力士には現役時代に看板的地位を務め、現在親方になっている人もいるという。今回名前が挙がったほかにも「支度部屋で本場所の取組前に先発投手の名前をしきりに気にする三役常連力士がまだ複数いる」と言う。

 野球賭博以外でも、ケタ外れの賭け事に興じる姿は、地方巡業や「花相撲」と言われるテレビ局主催の本場所以外の相撲大会の支度部屋で常態化している。

 市立体育館などの公共施設。午前中のけいこを終え、昼食後の土俵入りまでの数時間、賭場が開帳される。座布団の上には花札。種類によって点数が決められており3枚1組で2組が裏返しに並ぶ。札をめくって合計点数を競い、点数の多い方が勝ちだ。

 問題はこの2組に賭ける額だ。数万円の力士もいれば、中には50万円の人も。必ず2組同額にし、勝てば賭け金の割合に応じて、獲得できるため、1回の額はどんどん上がる。それを何回も開帳するから、座布団を囲む力士の片手には万札の束。ある幕内力士は「豊ノ島雅山豪栄道の賭け金は高かった」と話す。

 別の関係者は「1人の1回の賭け金が数十万円になり、総額で100万単位のカネが何度も行き来する」。そんな「賭場の輪」が幾つもできている。最近では今年4月の津巡業でも「賭場」が見られた。「初めてもらった三賞の賞金(200万円)を賭けで全部すってしまった」という幕内力士の話もある。部屋を超えた「仲間」が、今回の野球賭博にもつながったと言える。

 一般感覚とはかけ離れた浪費。マージャン、ゴルフ、花札……。こうした遊技にケタ外れの額をかける、金銭感覚がマヒしている力士が多いことが、今回の賭博問題の背景にある。

 ようするに、相撲番の記者の皆さんはそれを見ていながら、苦言を呈するわけでも、キャンペーンを打つわけでもなく、見ぬふりをしてこられたということですよね。
 立花隆が田中金脈を文藝春秋上で告発した時に、角栄番の記者が「そんなことはみんな知っている(から、スクープ的な話でもない)」といったというエピソードを思い出した。