団体追い抜きは団体競技

▼風圧を受ける先頭から滑らかに離脱し、何事も起きなかったかのように最後尾に回る。その数秒の交代作業の間にも速度はわずかも落ちない。トリノ五輪の新種目、スケートの「パシュート」は、3人の選手が順々に描く弧が美しい。
▼さぞ仲良く助け合う3人組と思いきや、女子チーム最年少の石野枝里子さん(20)の鋭い一言にドキリとした。「他の2人をちぎってやろうと思って滑らないとやってられない」。最後にゴールする者のタイムを競うため、1人が脱落したら終わりだ。相手チームとの勝敗は仲間の内の厳しい戦いの結果でもある。

日本経済新聞 春秋 2月17日

 そんなことにドキリとすんなぁぁぁ!とツッコミ。
 「ちぎってやろうと・・・」って、そんなあほな。ロードレースのへなちょこ愛好者でも間違いだとわかる、とぼけた一言。先頭に出たら加速していたっていうんだからお話にならない。
 もっとも、主な責任は選手よりも、団抜きで強くなるようなトレーニングも動機づけもできなかったナショナルチーム編成方針に原因がある。リレー競技だとでも思っとったんちゃうか。「もっと練習しとけばよかった」ってどの選手かもコメントしてたことからもそれは容易に想像できる。