たとえばこんな人。
応じない職員 再雇用拒否も
2007年6月27日 朝刊塩崎恭久官房長官は二十六日午後の記者会見で、社会保険庁による年金記録不備問題で社保庁全職員にボーナス返納を求めたことに関連して、返納に応じない職員に対しては、社保庁廃止後の二〇一〇年に新設される「日本年金機構」への再雇用を拒否する可能性を示唆した。
塩崎長官はボーナス返納と再雇用の関係について「二十五日の厚生労働相、社保庁長官の記者会見を読み返してもらえれば、何のために返納しているかがよく分かる。けじめと改革への姿勢だと明確に言っている」と述べた。
この発言は、全職員がボーナスを返上する形でけじめをつける必要性を強調したものだが、人事に絡めて返納を求めたとも受け取れるだけに、波紋を広げることになりそうだ。
とんでもなく間違ったことを求めているんじゃないか。「ボーナスをカットする」んじゃなくって「いったん支給したボーナスを寄付しろ」といっているわけだろ。つまりは財産権の侵害。権利(財産権を含む)を制限できるのは法律の根拠があるときのみってのが法治の原則。この「自主的」返納とはいっているけど、求められてやるのなら決して自主的ではない。
ましてや将来の待遇をちらつかせたりするともうこれは強制に限りなく近い。「あんたの人生をめちゃくちゃにされたくなかったらうちの団体に寄付することやな」といっているのと同じ。これって普通は恐喝(未遂)じゃないのか。あるいは民間で似たようなことがあったら、不当労働行為とかの疑いで労働基準監督局がとんでくるんじゃないか。
そもそも一般職員に関して「返納」という仕組みが法律上きちんとあるんだろうか?あったとしても、その金の使い道は色がつかないだろうから、年金関連に使われるとは限らないだろう。
もし行政トップが「社会保険庁職員にボーナス払うべきではない」と考えるなら、法律を国会に提出して通すか、あるいは既存の処罰規定に基づきボーナスカットするというのが本来の姿。
この発言は選挙前の人気取りねらいとしか思えない。年金問題の責任を現場の職員、なかんずく組合に押しつけようとするものだろう。全員に一律に求めるあたりからもそれはうかがえる。まじめにきちんと働いている職員が浮かばれない。