世界初の技術でどうなるの

 くまさんのコメントへのレスポンスを書き始めたけど、長くなりそうだし、続きで書こうかなと思っていたことに近くなったので別エントリーに。

 アメリカにライセンス料を払わされたり、使わせてもらえなかったりする例があまたあるのは知っているけど、では逆の立場になったらどうなるんだろう、それで国家国民にとってどんなメリットがあるんだろうかという疑問を持っている。なにしろそんな実例が日本にはほとんどなさそうなので、実感がない。
 それによって企業が儲かって税収が増える、周辺雇用が増える、流通するキャッシュが増えて景気がよくなる、円高になる、さらなる研究投資に使える、人材が集まるとかはなんとなく想像できる。でもそれはどれほどのインパクトを社会に与えるんだろう。アメリカでは実際どうなんだろう。

 基礎研究ではないけど知的財産関連でみると、PCやinternetの領域ではMicrosoftGoogleのようなアメリカの企業がおいしいとこ取りをやっている。でもユーザーレベルでいうと、アメリカ人が安く使えるというわけではない。日本語処理も、IMEを除くとそんなに大きな問題でもない(IMEは私にとって大問題ではあるけど)。大きな雇用を生み出しているけど、頭脳は世界中から集まっていて、アメリカ人が優遇されているわけではない(英語をつけることは必須なんだろうが)。莫大な富が生まれ、税収が増え、高級レストランとか住宅とかの需要が生まれるってのは社会に対するインパクトだろう。

 アメリカみたいにやっていくには、政府のしたたかさ、ずるがしこさも必要なんだけど、そういうのは日本政府の一番苦手な領域。エイズウイルス発見のでっちあげを支援までしていたアメリカ政府みたいなことはやりそうにもない。
 それと、研究者へのリターンも今のままではどうしようもないだろうと思う。民間企業にいた青色LEDの中村さんでさえあんな調子で、ましてや京都大学の山中さんの場合、名誉以外にどれだけの実利が得られることになるんだろうか。

 そういう意味では、iPS細胞ってのは試金石だと思う。気がついたら天下り団体がiPS細胞からあがってくる利益をむさぼるという体制になっていないことを祈る。