一票の格差があってもええんちゃうの

 一票の格差で選挙無効とかいう高裁判決が出てしまった。そのうえ、時期を設けてそこまでに是正したら無効じゃなくなるって全く意味がわからん。仮出所かいな。

 そもそもが、被告が各県の選挙管理委員会というのがわからん。選管には問題点を是正する権限も責任もないのに。しかも被告でもない国の責任がこの裁判で問われるなんてのもわからん。

 行政の作為や不作為、立法府違憲立法を審査する権限を司法が持っているというのはわかるけど、立法府の不作為を裁くことができるんだろうか?アメリカでは判例でできることになったらしいが。

 立法の不作為、怠慢なんだとしても、それは国民が選挙で選んだ国会議員による判断の結果。一票の格差違憲だとしても、それを解消するのは国民の投票行動であって、司法の仕事ではないのではないの。

 選挙結果が無効だったら、無効選挙区以上の格差がある選挙区も正当に選挙された結果ではなくなってしまうし、そうなったら選挙区を変更する権限を持つ国会の存在、権限自体がないことになってしまう。

 そもそもそもそもの問題として、一票の格差は本当にいけないことなのか?日本では議会というのは「それぞれの利益代表者が支持者の利益をぶん取り合う場所」だと思われているようだけど、本来は「選挙民が選んだ賢い人たちがよく話し合って物事を解決していく場所」。前者の発想だと一票の格差はいけないことになるが、後者の考え方に立てばさほど大きな問題ではなくなる。

 運用面でも、民主主義の祖であるイギリスやフランスでも2倍を越える格差を解消できないでいるし、アメリカでも上院は大きな差がある。よく主張される「2倍以内」をキープするってのは実現不可能なように思える。

 ほとんど金銭的メリットもなさそうなのに訴訟を頑張っている弁護士の皆さんの正義感には経緯を表するけど、果たしてその裁判に意味があるのかというのが正直な感想。

 一票の格差を問題する人々にとっては、格差の存在が民主主義の危機ということになるけど、私からしてみたら一票の格差にこだわることは民主主義への誤解、民主主義への理解阻害。


 まぁ私は田舎育ちなんでポジショントークでもあるんだけど。

紙面は批評のための引用。
連合王国全体では5倍を越している。差を5%以内に抑える法案は不成立。
フランスは07年選挙で5倍を超えている。
アメリカでも上院は66倍。