地方はスポイルシステムでもええんじゃないの

 自らの市長選出馬については、「その時に、また判断する」と明言を避けたが、最後には「(ダブル選に勝利すれば)大阪市の今の局長、次長、課長はみんなクビ。市民のための新しい役所に作り替える」との〈公約〉まで飛び出した。


はてなブックマーク - 橋下知事「大阪市幹部みんなクビ」W選勝利なら : 地方選 : 選挙 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


 アメリカでは大統領が代わると行政府の上の方は全部入れ替わるスポイルシステム(猟官システム)が慣習として浸透している。橋下発言をもってヒトラー呼ばわりする人はオバマヒトラーと同類とみえているんだろうか。

 竹原元市長に例えるのも不適切。竹原元市長の最大の問題点は議会を無視したことと職員に対して公務員法を無視した処遇を行ったこと。行政のトップである市長には行政官の任命権があるし。公務員は合法的な首長の行政行為を粛々と行うのがお仕事。

 議会と関連なしに選ばれ、任期が決まっている日本の地方首長は大統領制に近いわけで、スポイルシステムとの親和性も高いんじゃないか。行政のトップと行政官の対立で行政が滞るなんて時間と金のムダ。

 スポイルシステムがないことが、官僚主導・官僚依存の原因になっているし、天下りが横行する原因になっているんだから、橋下知事の着眼点は鋭い。
 最近は副知事、副市長に役所育ちの人を1人と外部からの人を1人というパターンが増えているのも、民主党政務官をたくさん作って(粗製乱造ともいう)事務次官の相対的地位を下げたのも同じような狙いだともいえる。中途半端ではあるけど。

 とはいえ、実現は結構難しそう。なによりも「課長まで代えたらアカンやろ」と。局長か次長までにしとかんと。
 人材があるかも問題。アメリカの大統領候補の陣営(≒民主党共和党)のように人材を抱えているわけではない。行政に関してある程度の知識があり、マネジメント力がある人なんて、人の流動性の低い日本の社会ではそう簡単に集められんと思う。
 「クビ」とはいうものの、解雇は難しいから配置転換ということになるだろう。でもそれなりの行政スキルがある人にスキルに関係ない職務を担当させる、閑職に置くというのも行政上の無駄。そういう人は対抗勢力のシャドーキャビネット的なところに転身するというのがきれいな形。とはいいながらそういう人材を抱えるような仕組みは今のところない。
 当の職員からすれば人生設計が崩れてしまうという嘆きもあるだろう。モチベーションが崩れてしまう面もある。でも倒産寸前の大阪市なんだから、倒産寸前の民間企業のようなことがあるのもやむを得ない、というか、すでにみんなある程度の想定はしているでしょ。
 田舎でスポイルシステムやったらたぶん利権の手法になるだろうな。韓国で大統領の親族が退任後に逮捕されるように。