どいつもこいつもご都合主義

 昭和天皇靖国参拝に関する発言のメモとおぼしきものが出てきての各方面の反応がおもしろい。これまで「天皇の政治利用はしていはいけない」と主張していたメディア、政治家が「天皇のお心に沿うべきだ」などといい、「天皇のお言葉に感動した」と繰り返していたメディアが「このメモによって首相の靖国参拝が左右されてはならない」と主張する。ようするにどっちも政治利用、ご都合主義ってことだ。いちばん驚いたのがこの発言。

 一、昭和天皇が、一九八八年、靖国神社A級戦犯合祀に「不快感」を示し、「だから私はあれ以来参拝していない。それが私の心だ」と語っていた史料が明らかになったことは、“靖国”派のこのシナリオと目標が、破綻(はたん)したことを意味する。
 それはまた、“靖国”派の要求に応じて、参拝をくりかえしてきた小泉首相の主張に、道理がないことを、いよいよ浮き彫りにするものとなった。
 わが党は、首相が、みずからの間違った立場をすみやかにただし、靖国参拝中止の決断をすることを、あらためて強くもとめるものである。

 たとえば、昭和天皇が「私の代わりに首相に参拝してほしい」と発言したというメモが出てきたとしたら、シナリオは破綻しないし、首相の主張にも道理があるということになってしまう。いつの間に日本共産党天皇の政治的発言を尊重すべきものとしたんだろうか。
 日本国憲法の建前として、天皇が何をいおうとも政治的意思決定にはいっさい影響を与えない、影響を受けてはいけないということになっている。憲法よりも自分たちの主張の補強の方が重要ということなんでしょうな。
 ちなみに社民党

社民党又市征治幹事長も「昭和天皇の意思が資料で裏付けられた。戦争の反省と平和の希求という気持ちが表れた言葉だと思う。政府・与党がどう受け止めるのか注視したい」との談話を出した。

 志井談話よりはましだけど、日本国憲法を大事にするという立場だったら「政府・与党はこの言葉に影響されることなく対応すべきだ」と発言すべきでしょう。
 しかし松岡洋右ってなんだかかわいそうだなぁ。なんでそこまで嫌われなならんのだ。