福士の残念

 福士の大阪国際女子マラソンには2つの残念があった。
 ひとつはマラソンに挑戦したこと。誰もかれもがマラソンばっかり重視する風潮の中で、福士にはトラックでひとつの世界を築いてほしかった。ヨーロッパでは大人気のトラック競技も日本ではテレビ中継があるのは日本選手権くらい。延岡のゴールデンゲームズ(やったかな)はずいぶん盛り上がるらしいけど。トラックがひとつのマーケットを形成すると、いろんな生き方ができるのにと思う。
 もうひとつは、距離を積まない準備が成功しなかったこと。日本のマラソン至上主義の中で、距離を踏む練習がひたすら重視されている。当然故障も多くなる。「いい選手とは故障しない選手」だというような、「指導者の役割を果たしてへんがな」というような言説がまかり通っている。才能がありながら故障に泣いた選手もたくさんいる。今回福士が成功していたら、そういうことも少なくなったかもしれない。
 ということで、個人的な希望としては、福士にはこれからもトラックとかクロスカントリーでばしばし走っていって、マラソンとは違う長距離走の世界を確立してほしい。マラソンを走るにしても「トラックのトレーニング」くらいの気持ちと発言で世間の目を冷まさせてほしい。それがあとに続く多くのトラックランナーの幸せにもつながると思う。