マイナンバーはデストピアの始まり?

 ゆうても、「マイナンバーで管理社会が始まる」「マイナンバーが漏洩してプライバシーダダ漏れ」とかいう話ではない。もちろんそういう懸念もあるけど、それを上回る社会の効率化があると考えるので、マイナンバーに対しては賛成。というか、もっと利用制限を緩めてもいいんじゃないかと思っている。
 で、このエントリーで言いたいのはそういうことではなく、労働市場に関して。

マイナンバーは住民票の住所に送られる

 マイナンバーは住民票の住所に郵送されるらしい。つまり住民票の住所に住んでいない人は自分のマイナンバーを知ることができない。そしてマイナンバーがないと賃金の支払を受けることができない、というか、マイナンバーを提示できない人は短期・長期を問わず職に着くことができなくなる。
 住民票の住所に住んでいなくて、そこに戻ることができない人といえば、なんらかの事情がある人。たとえば、家出した、蒸発した、失踪した、家族から逃げまわっている、DV夫から離れて暮らしている、住所不定になってしまった、不法入国している、不法滞在している、etc.。
 そういう人達、特に男性はおそらくは主にガテン系の仕事に従事している。そういう人手の供給がいきなり絶たれてしまう。東北復興、東京オリンピック、不動産ブームでただでさえその手の人でが不足しているのに拍車がかかる。ヘタすると東京オリンピックの競技場(新国立に限らず)が完成しないかも知れないし、少なくとも人件費は想定より大きくなるだろう。その影響は玉突き的に、製造業、流通、サービス産業などにも出てくる。
 一方、そういう人たちが職を失った時にどうなるか。アンダーグラウンドの反社会的勢力がその隙間に食い込むかも知れないし、食い詰めて犯罪に手を出す人が増えて治安の悪化をもたらすかも知れない。住民票の地に行けないのだからセーフティネットたる生活保護も受給できない。
 しばらくすると平穏を取りもどすかも知れないが、導入時にはかなりの社会的混乱があることを覚悟すべきだと思う。

会社バレ、親バレがこわい

 複数の会社から賃金の支払を受けている人にも影響がある。マイナンバーは賃金支払先に提示するけど、会社同士では情報をやり取りしない制度になっている。でもなんとなく不安に思う人もいるはず。また最終的には税務署で集約されるのでそのルートから家族にバレるというおそれも感じるだろう。
 で、副業をしている人が多い業種といえば水商売、性風俗産業。女性はもちろん、男性のサービサーや、それぞれの店のスタッフなど。それらの業種ではマイナンバー導入期には深刻な人不足、賃金上昇が発生するはず。その結果はガテン系同様、反社会的勢力の浸透(まあ今でもいろいろ言われているけど)、貧困、治安悪化のおそれもある。

とはいえ、マイナンバー

 とはいえ、マイナンバー制度はすすめるべき社会インフラだと思っている。いろいろデメリット、懸念事項もあるし、導入時には上記のような大きな混乱もあるだろうけど、そのうちなんとかなると思っている。中途半端にやるのは一番良くない。そうならないよう、その時点で安定した(目先の人気に一喜一憂しない)政権だとええなと思う。